副業による所得が20万円を超えた場合は、確定申告が必要となります。
もう少し詳しく書くと、給料所得者*が副業で20万円以上の所得を得た場合、勤務先での年末調整とは別に確定申告を行う必要があります。
*給料所得者とは、会社員のみならずアルバイトやパートなど企業から給料を受け取っている方
当記事では、副業で確定申告が必要なケースの見分け方と、所得の種類による確定申告のやり方の違いを明らかします。また、実際の確定申告のやり方も3ステップでご紹介します。
副業で確定申告が必要になるケースは?
日本では申告納税制度が採用されているため、個人が自己申告をして税金を納めます。一つの基準として、副業による所得が20万円を超えると確定申告が必要になります。
収入と所得の違いと計算方法
副業の所得とは、収入から必要経費などを差し引いた金額のことです。
所得金額 = 収入 - 経費
20万円ルールについて
特例措置があり、副収入が20万円を超えていなければ、所得税の確定申告は不要です。これはあくまでも「所得税」に限ってのことです。市区町村に支払う住民税については、特例措置は適用されないので住民税は別に申告しなくてはなりません。
所得税は国税、住民税は地方税となり、適用されるルールが異なります。
20万円ルールに基づき確定申告をしなかった場合、自治体に必要な情報が届かず本来は納めなくてはならない住民税を、納め忘れることになり、確信犯でなくても脱税行為に当たります。
20万円ルールを適用した場合の住民税について
所得税をもとに市区町村では納税者の住民税を計算しています。
副業の所得が20万円以下で、「20万円ルール」を適用し確定申告を行わなかった場合、毎年3月15日までに「住民税申告書」の提出が必要になります。
住民税は地方税に含まれるため、自治体で納税場所が異なります。お住まいの自治体のホームページを確認し、申告漏れがないよう注意しましょう。
所得が20万円以下でも申告した方が良いこともある
副業が給与所得で源泉徴収されている場合、確定申告で払いすぎた所得税が還付される可能性があります。
所得税は1年分の給与の合計額が確定するまでは、正確な所得税額は算出出来ません。
そのため、年間で支払った所得税額が、本業と副業の所得を合算した年間所得にかかる所得税額に対して多く支払っていた場合には、払い過ぎた税金が還付されます。
また、還付されるかどうかは、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」などでも確認することも出来ます。
副業所得の種類を確認する
所得は全部で10種類に分類されますが、一般的な副業で得た収入が該当する所得は5種類になります。事前にどの所得に入るか理解しておくと確定申告もスムーズに行えます。
- 給与所得(アルバイト、パート)
- 雑所得(在宅ワーク、クラウドソーシング、FX、仮想通貨)
- 事業所得 *一定以上の規模と継続性が必要
- 不動産所得(家賃収入)
- 譲渡所得(株式投資)
給与所得
給与所得とは、勤務先から受ける給料・賞与などから控除額を差し引いた金額です。正社員、派遣社員、契約社員、アルバイトなどの雇用形態は関係なく、企業から給与として受け取った所得はすべて給与所得になります。
雑所得
給与や不動産、投資以外の収益は雑所得になります。ブログ収益などの在宅ワークやクラウドソーシングなどが該当します。
同じ仕事でも、企業から雇用され給与を受け取っていれば給与所得、フリーランスとして報酬を受け取っていれば雑所得、事業規模まで拡がっていれば事業所得となります。
事業所得
事業所得とは、事業活動で得られた所得のことで、副業の所得でも、一定以上の規模と継続性が認められれば、事業所得として申告できます。
副業の所得が事業所得か雑所得かは、事業の規模と継続性で判断され、副業が事業所得に該当すれば、税制上有利な青色申告を選択することができます。
確定申告の青色申告・白色申告の違い
確定申告は、青色申告または白色申告の2つのやり方があり、どちらで申告するのかで帳簿の付け方や控除額が異なります。副業所得が「雑所得」に該当する場合は白色申告のみで青色申告は受けられません。
副業所得が「事業所得」「不動産所得」に該当する場合は、青色申告が可能ですが、さまざまな節税メリットを受けることができる反面、事前の手続きや複式簿記での記帳が必要になり、白色申告に比べて申告準備に手間がかかります。
複雑だがメリットの大きい「青色申告」
青色申告は税務署に「開業届」「青色申告承認申請書」を提出すると選択できるようになります。青青色申告では複式簿記での記帳が義務付けられているため、会計知識が必要になります。
- 青色申告特別控除を受けられる
条件を満たせば最大65万円の特別控除を受けられる(e-taxでない場合は55万円) - 青色事業専従者給与を使える
1年間のうち6ヵ月を超える期間、生計を共にする15歳以上の親族を事業に従事させた場合。給与を全額必要経費として算入できます。 - 純損失の繰越控除や繰戻還付を受けられる
赤字の繰り越しが出来ます。また、マイナス分を翌年以降の3年間にわたって、黒字分から控除することも出来ます。
誰でもかんたんに出来る「白色申告」
白色申告は、「簡易簿記(単式簿記)」と呼ばれる記帳方法が認められ、お小遣い帳のようなカタチで、会計知識がない方でも比較的簡単に作成できます。ただし、青色申告のような特別控除や会計処理上の特典はありません。
事業を開始したばかりで事業収入が少ない人は、控除の恩恵も少なくなるため手間がかからない白色申告で十分ですが、ある程度の事業収入が増えてきた場合は、特別控除などの特典が充実している青色申告への変更をおすすめします。
確定申告の手続き
副業の確定申告の場合、副業収入の所得金額と本業の給与所得を合算して確定申告書を作成し、税務署に提出します。
確定申告の申告期間は、毎年2月16日から3月15日です。(それぞれの日付が土日祝日に該当する場合は、翌平日が期限となります)
前年度の1月1日~12月31日までの副業収入が対象となります。
また、確定申告書の作成は手書きでも出来ますが、会計ソフトまたは国税庁の確定申告書作成コーナーで、必要項目を入力すれば自動で計算してくれます。
確定申告のは以下の流れで行います。
確定申告に必要な書類を準備する
確定申告をするためには、書類の準備が必要です。
確定申告では、使った経費の領収証、仕事の依頼元からの支払調書なども添付書類として提出する必要があります。
経費をクレジットカードで支払った場合はその利用明細のコピーを用意し、どの支払いで使用したかを明確にします。
副業の確定申告に必要な書類
- 確定申告書Aまたは確定申告書B
- 身分証明書(運転免許証、パスポート、健康保険証などのコピー)
- マイナンバーカード、通知カードのコピー
- 源泉徴収票(本業分を添付)
- 白色申告の場合には収支内訳書、青色申告の場合は青色申告決算書
上記の書類にプラスして、副業が雑所得の方は「所得を明らかにできるもの」「必要経費がわかるもの」を用意し、副業が給与所得の方は「副業の源泉徴収票」、副業が事業所得の方は「仕訳帳や現金出納帳、売掛帳などの帳簿類」が必要です。
確定申告書の記載方法
確定申告の準備ができたら、確定申告書を作成します。手書きでもOKですが、確定申告ソフトや国税庁の「確定申告書等作成コーナー」の活用がおすすめです。
副業の所得が雑所得か給与所得かで申告書の作成方法が違ってきます。
確定申告書の提出方法
申告時に添付や提示が必要な書類を確認して、確定申告書とともに提出します。電子申告(e-Tax)のほか、郵送、税務署の窓口で提出できます。
電子申告(e-Tax)場合
e-Taxは、PCやスマホを使いネットで確定申告を行うことが出来ます。すでにマイナンバーカードを持っている方か、事前に税務署でID・パスワードの発行を済まされた方が利用できます。もちろん24時間提出可能です。
e-Taxまた、e-Taxで提出する場合、1月から申告可能です。還付がある場合は2~3週間で還付金が振り込まれ、青色申告特別控除では上限の65万円控除を受けることが出来るなどメリットが多くおすすめです。
郵送
確定申告書の郵送先は、納税地を管轄する税務署です。国税庁のホームページから管轄の税務署を調べることができます。
また、確定申告書は信書にあたるので、「郵便物」(第一種郵便物)または「信書便物」として郵送します。宅配便やゆうパックなどは利用できません。
控用の確定申告書と、切手を貼付した返信用封筒を同封すると、収受日付印を押した控えが返送されます。
窓口への持ち込み
管轄する税務署へ直接持ち込むことも可能です。控用を持ち込み、その場で提出日の収受日付印を押した控えを受け取ることができます。
税務署の開庁時間は、月曜日から金曜日(祝日等を除く)の8:30〜17:00です。(確定申告の相談受付は4時までです。)
確定申告期間中は、一部の税務署で日曜日も確定申告書の提出や相談対応のため開庁しています。
また、営業時間外は時間外収受箱が設置されているので、24時間いつでも確定申告書の提出は可能です。
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